鼻編

 28歳の主婦です。感冒後に少し嗅覚が低下してきました。耳鼻科で「アリナミン検査」などを受けたところ軽度の嗅覚鈍麻がるとのことです。雑誌で「嗅覚刺激療法」を見ましたが どういった治療でしょうか?

 嗅覚刺激療法とは「バラ、レモン、ユーカリ、クローブの香を1日2回、10秒嗅ぐ、3ヶ月以上」することで嗅覚障害を改善する治療方法です。発症から1年以内に開始することで嗅覚神経細胞を刺激、再生を促す効果があると期待されています。使用する嗅素(匂いの素)は単一薬剤(上記4種類)で無くても可能です。たとえば類似する匂いの市販の「アロマオイル」で代用することも可能です。要は「意識して匂いを嗅ぐ」ことを生活の中で実践することが改善のきっかけになります。嗅覚刺激療法だけで改善するわけではありませんが こういった生活習慣指導が嗅覚改善を後押しすることになります。一般のアロマオイルを使用する場合は注意事項を遵守してください。直接鼻に付けたりは避けていただく方がよいでしょう。スティックなどの使用をお勧めします。

 (追加ですが)今回この「嗅覚刺激療法」をお話したきっかけは「新型コロナ感染症・初期症状・後遺症」で嗅覚鈍麻や味覚低下が持続する患者さまからご相談を受けたことです。一般的な嗅覚・味覚障害については基本的な検査や治療などはありますが 今回のウイルス感染症の「後遺症」として嗅覚鈍麻があり、耳鼻科として新たな治療法や補助療法があるのではないか?と文献や過去の症例報告を検索してみました。実際に感冒後の嗅覚鈍麻の患者さまにこの「嗅覚刺激療法」をご指導してみましたところ、一般的な治療との組合わせで改善例を見ております。今回の「コロナ感染・後遺症」に有効かどうか?の判定はできておりませんが 少なくとも一般治療の補助療法としては施行してみる価値はあると思います。また上記4種類「バラ、ユーカリ、レモン、クローブ」の代用として「ココナッツ、パイナップル、バニラ、湿布薬嗅」があります。
 (追加2)コロナウイルス感染症の嗅覚低下の程度として「バラ」嗅が注目されています。「バラ」の匂いが判別出来る患者さまほど嗅覚鈍麻の改善傾向も良好だとされるようです。


30才の女性です。仕事柄よく飛行機に乗りますが、春先に飛行機に乗るとよく鼻の奥やのどの中が急に激しく痛む事があります。どうしたらよいでしょうか?

 お話からすると春先のスギ花粉症の方で飛行機の高度の変化で気圧が変わり、鼻の中や副鼻腔の空気の圧とが連動して知覚神経の三叉神経が刺激されて痛みが出たようです。
そういった方は飛行機に乗る前に鼻詰りを取る薬を服用したり点鼻薬などを差すとよいでしょう。また軽い鎮痛剤も有効です。ただ他の病気でも似た症状が出ますので一度耳鼻科を受診されて適切な薬を処方していただくとよいでしょう。


 75歳の女性です。4月上旬頃から毎朝4時ころから急に鼻がムズムズしてきて鼻水が出るようになりました。そのうちにくしゃみ発作が出たり、耳の中も痒くなってきています。スギ花粉症か?と思い近くの内科で抗アレルギ―剤を処方していただき一旦は軽くなりましたがすぐに再燃してきますし6月になっても症状は持続しています。原因は他にあるのでしょうか?

 最近急にスギ花粉症が発症したか?とのお話でしたが 一度血液検査などでアレルギー検査は必要か?と思います。ただ6月にも症状が継続しているとのお話ですので単純なアレルギー反応ではなさそうです。特に早朝に症状が強いとの訴えですので血液検査などでアレルギー反応がないようでしたら「血管運動性鼻炎」または「温度差過敏症」といった状態ではないか?と考えます。皮膚科領域でも「寒冷蕁麻疹」といった状態もありますので 早朝や室内外の温度変化が大きい状態の時にアレルギー症状が強く出現すると考えられています。鼻炎症状には抗アレルギー剤の適切な服薬指導で改善が認められますが、ただ完治はむつかいしいことも多くまずは耳鼻科での診察と治療指導を受けていただくことをお勧めします。


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