耳編

 3か月ほど前より両耳の湿疹症がひどくなっています。6カ月前よりワイアレス・イヤホンを使用していますが 使用開始して2か月位から3時間ほど使用すると痒みが出現するようになって来ました。この1か月は使用して10分位でも痒みと分泌物が出てくるようになっています。どう対応したらよいでしょうか?

 以前よりイヤホンを使用する方より「時々耳が痒いので軟膏を」とのご希望で受診される場合がありました。今年の4月位からそういった患者さまが多い?との印象を持っておりましたが 6月上旬より外耳道湿疹症の患者さまが次第に増加傾向です。最初は単純に耳の痒みと判断しておりましたが ある方が「イヤホンをすると調子が悪い?」との質問があり、一旦イヤホンの使用を中止していただき 軟膏処置と抗アレルギー剤で加療しましたところ1週間ほどで症状が消失したとのことでした。皮膚科専門医に伺ったところ 「シリコンアレルギーでは?」との助言がありました。それ以降に湿疹症が再燃する患者さまにイヤホン使用を伺うと10%位の方がワイアレスイヤホンをこの6カ月に使用開始してから起こっているとのお話しでした。補聴器専門店に同様の質問をしましたところ「現在では補聴器のイヤーモールドにはアクリル系(少々硬めの)材質を使用することが多い」とのことでした。
 シリコンアレルギーの検査として基本的には皮膚科専門医の受診と皮膚パッチテストを受ける、予防としてはイヤホンを一旦中止または他の製材のイヤホンに変更する、耐水・耐汗性の高いIPX製品に変えるなどがあります。 シリコン以外が原因の湿疹症もありますので、やはり耳鼻科と皮膚科の先生とのご相談と検査、治療が大切と思います。


28歳の女性です。2~3か月ほど前より右耳が詰まった感じが続くので耳鼻科を受診しましたところ耳管開放症と診断されました。どういった病気でしょうか?最近ダイエットで体重が5kgほど減少しております。

 鼻の奥と耳をつなぐ管(約3.5cm)を耳管といいます。この管が開きっぱなしの状態(開放状態)になる病気をいいます。普段この管は軽く閉じている状態で鼻と耳(中耳)の圧調整の時に開いたり、閉じたりしています。同様の症状は耳管狭窄症(耳管が閉じっぱなし状態)にも起こることからこの鑑別診断はなかなか困難なことも多いようです。耳管開放症でも耳の閉塞感や自分の声が共鳴したり、耳鳴りやめまいを起こす患者さまもあります。こういった患者さまには耳管通気などの処置では改善せず、長期間症状が持続する例もあります。特に若い女性で体重が5~7%減少したり、また過労や糖尿病で体重が急に減少した方によくみられます。耳管周囲の脂肪の減少や軟骨の硬化、また耳管粘液が粘張化することなどが原因といわれています。鼻をすする癖があると耳管内圧が下がり悪化するのでやめましょう。
 治療としては鼓膜の共鳴を押さえるパッチ療法や耳管ピン、鼓膜チューブ留置、上咽頭の薬剤処置などがありますが 症状が改善しない場合では まずは他疾患の鑑別も含めて耳鼻科での精査と基幹病院(大学など)での精査をお勧めします。


 65歳の男性です。20歳代より左耳が次第に聞こえなくなり40歳代にはほぼ聞こえなくなりました。右耳は50歳前後まではよく聞こえていましたが2年前より急激に聴力低下が進行し、現在では補聴器を装着してもほとんど聞こえなくなっており重度の感音難聴と診断されました。この年齢でも人工内耳手術が受けられますが?

 お話を伺いますと進行難聴か急性感音難聴ではないか?と考えます。内耳(蝸牛内)にある有毛細胞が障害されたか?または内耳神経(聴神経)などの障害が原因と考えます。補聴器装着にて効果がないようでしたら人工内耳の適応が考慮されます。内耳(蝸牛)に小さい穴を開けて細い電極を挿入し、音を電気信号に変えることで聴神経を刺激します。まずは手術可能な病院にて事前検査を受けていただき、聴神経や蝸牛などに問題がないかどうか?を調べる必要があります。


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